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ちょっとした行列の問題

次の3×3実行列の固有値を全て求めましょう。
ただし、α,βは0<α<1, 0<β<1, 0<1-α-β<1を満たす実数とします。(この行列は遷移確率行列となります。cf. 3状態マルコフ連鎖)

1-α β 0
α 1-α-β β
0 α 1-β


きつい計算をしたくない人向けのヒント
上に書かれてある行列をAとします。
(1)Av_1=v_1を満たすベクトルv_1を求めましょう。(Aは遷移確率行列なのでそのようなベクトルが存在します。)
(2)v_2=(1,0,-1)^T (T:転値) v_3=(1,-1,0)^Tとします。Av_2, Av_3をそれぞれv_1,v_2,v_3の線形結合で表しましょう。
(3)P=(v_1,v_2,v_3)とおき、B=P^(-1)APを具体的に求めましょう。(P^(-1):Pの逆行列)
(4)Bの固有値を全て求めましょう。また、Bの固有値とAの固有値が一致することを示しましょう。

以上のような解き方をすると、既知の固有ベクトルの情報を除くことで3×3行列の固有値問題を2×2行列の固有値問題に変えることができます。

追加の問:どのような発想でv_2,v_3を上のように定義したか考えましょう。なんとなくで良いです。
ヒントのヒント:任意の3次元ベクトルpに対しΣ_i (Ap)_i=Σ_i p_i (Aによって遷移してもベクトルの各成分の和(確率の和に相当)が不変)

【下級生向け】アレの覚え方

・合成関数の微分
{f(□)}'=f'(□)*□'
□の中にいろいろ入れる。
例:{(x^2+1)^5}'=5(x^2+1)^4 *(x^2+1)'
{sin(x^2+1)}'=cos(x^2+1)*(x^2+1)'

・部分積分
∫f(x)g(x)dx=f(x)G(x)-∫f'(x)G(x)dx
この式の右辺を見つめながら
「そのまま積分、マイナスすること、微分積分また積分
と唱える。

周期表
すいへーりーべーぼくのふね
なまがるしっぷすくらー
くっかすくちヴくりーまん ふぇこにくぜっとんがげあずせばーかー
rとlは発音の際の舌の位置が違う。hとfの発音の違いにも気をつけながら覚えよう。

理想気体の状態方程式
NTR=PV (ねとられPV)
(Nは粒子数ではなく物質量(モル)なのになぜ大文字を使っているのかはお察しである。)

実積分へ応用する際の複素積分の経路

典型的なものに関しては自分で経路を決められるようにするとよいでしょう。
普通は以下の三通りで計算できます。

・半円(実軸と半径無限大の円のIm z>0 or Im z<0の半円の弧)(このパターンがたぶん一番典型的です。)
パックマン(原点における半径無限小の円弧、実軸正の領域の往復(片方はIm z->+0,もう片方はIm z->-0), 半径無限大の円弧)
・角度θの円弧(直線経路z=0→z=R, 半径Rの円弧上の経路z=R→z=Rexp(iθ), 直線経路z=Rexp(iθ)→z=0(R->∞))

経路の選び方のコツは以下の通り。
特異点は避けよう。
半径無限小の円弧状の経路で避けたりしましょう。

・半径無限大の円弧上の積分が0になることを示すときは積分の絶対値<=◯◯→0(R->∞)を示そう。
実数の変数tに対して
|∫f(z)dz|<=∫|f(z(t))|*|dz/dt||dt|が成り立つことを使うと良いでしょう。
その際、0<=θ<=π/2に対しsinθ>=(2/π)*θが成り立つことを使うと良い場面もあります。

・角度θの円弧のケースに関しては、2つの直線経路の積分がそれぞれ「求めたい実積分*複素数」という形になるようにθを決めましょう。
例えば∫dx/(x^3+1)ではf(z)=1/(z^3+1), θ=2π/3

・多価性に気を付けよう。特にパックマン
実軸正の領域の往復では、片方はarg z=0なのに対しもう片方はarg z=2πとなり、この違いによって実積分を「生み出し」ます。


どう頑張っても無理だった場合は素直に演習書を参照しましょう。
詳解物理応用数学演習 共立出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4320031423/ref=cm_sw_r_tw_awdo_x_Fx4Wyb7YNEQNR

線形時不変システムの固有関数としてのexp(jωt)

なぜフーリエ解析は有用なのでしょうか?
(えっ有用なの?と思った人は交流回路とかコイルのインピーダンスjωLとかを思い出してください)
様々な答え方があるかと思いますが、一つの答えは「exp(jωt)が線形時不変システムの固有関数だから」というものだと思います。

線形時不変システムとは、入力x(t)に対し出力y(t)が決まるシステムL[x(t)]=y(t)に対し、
・線形性(入力がx_aとx_bの和になってると、出力はそれぞれの出力y_a,y_bの和となる性質)
・時不変性(入力が時間t'だけずれると出力も時間t'だけずれる)
を満たすもののことです。
このようなシステムは世の中にたくさんあります。
R,L,Cからなる交流回路網もその一つです。

exp(jωt)がLの固有関数である、ということを式で表すと
L[exp(jωt)]=Z(ω)exp(jωt)
となります。

その視点でフーリエ逆変換式を眺めてみます。
f(t)=∫dω F(ω)exp(jωt)
これは関数f(t)を直交完全系{exp(jωt)}によって展開したものであると同時に、線形時不変システムLの固有関数による展開でもあります。
一般のベクトルを行列の固有ベクトルの線形結合で表すのと似たようなことです。

なぜ固有関数展開をすると良いのか?というのは次の式変形を見れば分かることでしょう。(投げやり)
y(t)=L[x(t)]
=L[∫dω X(ω)exp(jωt)] (Lの固有関数展開)
=∫dωX(ω)L[exp(jωt)] (∵ Lの線形性)
=∫dω X(ω)Z(ω)exp(jωt)
よって、Y(ω)=Z(ω)X(ω)

時間微分d/dtも時間積分∫dt も線形時不変であるので、RLC回路は線形時不変なシステムです。
それ以外にも、例えばポアソン方程式ΔV(r)=-ρ(r)/ε_0も、入力が電荷密度ρ(r),出力が電位V(r)の線形「空間不変」システム(ここでの「空間不変」の部分は造語ですが、察してください)です。
ポアソン方程式からクーロンの法則を導出するときにフーリエ変換したり逆変換したりしますが、それはexp(ik・r)がポアソン方程式の固有関数となっているからうまくいくのです。

スマホから長文を書いたので、読みにくい文章だったかもしれません。
ここまで読んだ方、お疲れ様です。(そんな人いるのか?)

ちょっとした電磁気学の問題

高専2年生の頃、誘電体とか分極とかがよく分からなかった記憶があります。
その後、計算はできるようになりましたが、機械的に計算はできてもイメージはよく分かっていない、ちゃんと理解していない、という期間がそれなりにありました。
そんなことをふと思いながら……


誘電体中の電場について考えます。
ガウスの法則はdiv D = ρ (真電荷密度)です。

(1)真電荷とは何でしょうか?「分極」という言葉を必ず用いて説明しましょう。また、分極電荷密度ρ_p,真電荷密度ρを用いてdiv Eを表しましょう。

(2)誘電体に帯電した棒を近づけると誘電分極が生じます。この誘電分極と、導体で生じる静電誘導との違いを説明しましょう。説明の際は、表面に現れる電荷の「置かれてる状況」の違い、物質内部の電位について触れておきましょう。

(3)分極電荷は電流として外に取り出すことができません。しかし、分極を利用して空気中で誘電体(「特殊な」誘電体でもよい)から電流を取り出す方法はあります。その一つを考えてみてください。(ヒント:空気中の浮遊電荷…?)
余裕があれば、電磁気的な刺激を加えられない場合にどのようにすれば空気中で誘電体から電流を取り出せるのかについても考えてみてください。

ちょっとした確率の問題

確率変数Xについて以下の式を示しましょう。
E[A]は確率変数にAについての期待値をとることを意味します。
E[exp(-X)]≧exp(-E[X])
ヒント:任意の実数xについてexp(x)≧1+xが成り立つ。

標本分散とχ^2 分布の関係を簡単な線形代数で導く―行列と二次形式―

ちょっと進んだ高専生のための~シリーズ第三弾です。

統計がメインテーマかと思いきや、行列と二次形式の関係がメインテーマです。

 

要約

・標本数*標本分散/母分散は自由度(標本数-1)のχ^2分布に従います。これは母分散の推定・検定をする上で重要な定理ですが、高専の教科書には証明が載っていません。

・標本分散が二次形式になっていることに注目し、線形代数的にアプローチをかけました。

・「二次形式→行列」という発想は重要です。他の例として、多変数関数の極値判定に対するヘッセ行列の導入があります。(なぜか高専の教科書には「ヘッセ行列」の影も形も見受けられないので、ぜひとも知っておきたいところです。)

 

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追記

(1)式にΣ_i (index iでのsum)が抜けていました。正しい式は以下の通りです。

nS^2/σ^2=Σ_i (X_i-ave(X))^2/σ^2